アップルが創業50周年を迎えた。ケータイ業界が一気に拡大したのは2007年のiPhone登場がきっかけであり、その一方で、今年3月にはiモードがサービスを終えた。
初代iPhoneは3.5インチ、2G(GSM)対応、アプリストアなし、カメラは背面のみで静止画限定。アクティベーションもPCのiTunes経由と、機能面では当時のiモード端末に遠く及ばなかった。ウェブ、メール、ゲーム、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線まで揃えた多機能ケータイを前に、「iPhoneはiモードに勝てない」とまで言われていた。だが、タッチパネルによる直感的な操作は大きな魅力だった。
日本上陸当初、iPhoneは孫正義氏の期待ほどは売れず、ソフトバンクが実質無料キャンペーンで裾野を広げて普及させた。ネットワーク品質への不満から「ドコモから出るまで待つ」という層も多かった。
2011年にKDDIが2番手として参入すると、翌年のiPhone 5では田中孝司社長がテザリング提供で差別化。対抗上、ソフトバンクはイー・モバイルやウィルコムを取り込み、基地局網を厚くした。2013年にNTTドコモがようやく取り扱いを開始すると、毎月10万人規模とも言われたユーザー流出はようやく止まった。
影響はメーカーにも及んだ。ドコモが同年夏にソニーXperiaとサムスンGalaxyを「ツートップ」として推した結果、選外のNECカシオは撤退、パナソニックも個人向けスマホ開発を休止した。ドコモがiPhoneを扱わないことで辛うじて生き延びていた国内メーカーの牙城が崩れた瞬間だった。
20年前、日本のケータイ業界はiモードを頂点にキャリアとメーカーが輝いていた。しかし、iPhone上陸以降、キャリアは「iPhoneが快適に使えるネットワーク」を競い、収益源を金融など経済圏に移した。残ったメーカーは総務省の割引規制、円安、メモリ高騰に苦しむ。iPhone上陸からの20年は、まさに激動の再編期だった。
