アップル、9月にCEO交代 後任はターナス氏 クック氏は執行会長へ

米アップルは、ティム・クックCEOが執行会長に就き、ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏が新CEOに昇格する人事を発表した。発効は2026年9月1日付で、取締役会が全会一致で承認した。長期の後継者計画を経た円滑な移行と位置づけられる。

クック氏は夏までCEOを務め、ターナス氏と密接に連携しながら引き継ぎを進める。執行会長就任後は、各国政策当局との対話など一部の業務を担当する。

クック氏は「アップルのCEOを務めたことは人生最大の栄誉だった。顧客の生活を豊かにすることに全力を尽くしてきた献身的な仲間たちとともに働けたことに感謝している」と述べた。そのうえで「ジョン・ターナスはエンジニアの頭脳、革新者の魂、そして誠実にリードする心を併せ持つ。25年にわたる貢献は数えきれず、アップルの未来を託すにふさわしい人物だ」と後任を高く評価した。

ターナス氏は「アップルの使命を引き継ぐ機会をいただき、深く感謝している」とコメント。「キャリアのほぼすべてをアップルで過ごし、スティーブ・ジョブズのもとで働き、ティム・クックを師として得られたことは幸運だった」と振り返り、「半世紀にわたりこの特別な場所を定義してきた価値観とビジョンを持って率いていくと約束する」と決意を示した。

クック氏は1998年にアップル入社、2011年にCEOへ就任した。在任中にApple Watch、AirPods、Apple Vision Proといった新カテゴリーを生み出し、iCloudやApple Pay、Apple Music、Apple TVなどのサービスも立ち上げた。時価総額は約3500億ドルから4兆ドルへと10倍超に拡大、年間売上高も2011年度の1080億ドルから2025年度には4160億ドル超へとほぼ4倍に伸びた。アップルシリコンへの移行やプライバシー重視の姿勢、2015年比60%超の二酸化炭素排出削減なども同氏の実績に数えられる。

一方のターナス氏は2001年に製品設計部門に入り、2013年にハードウェアエンジニアリング担当副社長、2021年に上級副社長となった。iPadやAirPodsの立ち上げに関わり、iPhone、Mac、Apple Watchの世代を重ねた開発を主導。直近では、より幅広い層にMacを届ける新型「MacBook Neo」の投入や、iPhone 17 Pro/Pro Max、極薄で堅牢なiPhone Air、iPhone 17といった刷新ラインナップを送り出した。リサイクルアルミ合金やApple Watch Ultra 3の3Dプリンタ製チタンなど、素材・環境面の革新にも関与している。ペンシルベニア大学で機械工学を学び、前職はバーチャル・リサーチ・システムズの機械エンジニアだった。

なお、15年にわたり社外取締役会長を務めてきたアーサー・レビンソン氏は、9月1日付で筆頭独立社外取締役に就任する。